この宿から伝わるのは、隅々まで行き届いた「もてなしの心」。
日帰り客用の浴用タオルのリサイクルを見たのは角間温泉岩屋館、温泉津温泉輝雲荘に次いで三軒目、前の二軒はキレイに畳んで積んであったけど、ここはひとつひとつ紙でまとめて籠の中に置いてある。足袋ソックスも同じようにして別の籠に並べてある。足袋のほうは他人が使ったものと考えると抵抗ある人もいるだろうけど丁寧にラッピングして並んでいるから抵抗感はあまり感じられないのでは?と思う。さらに濡れたタオルを持ち帰る不便がないように花柄のビニール袋まで置いてあるのは、使う人の立場に立った心配りで感心。宿から露天風呂に着くまでの間寒くないよう防寒コートを渡してくれ、露天風呂にあるチェアーには裸でねそべっても冷たく感じないようバスタオルが敷いてある。食事処には膝掛け。夕食後は部屋の水屋に(インスタントだけど)コーヒー。冷水の用意は当然で、浴衣とは別の就寝用の寝間着。朝風呂の後にパブリックスペースで和んでいたら女将さんが昆布茶を出してくれた。甘味処で自由に使える飲み物券。今までも気配りの伝わってくる宿は沢山あったけど、一段も二段も他宿よりレベルが上。一度部屋にはいると宿の人が入ってくることはなかったし、接触がある時は全員笑顔での対応をしてくれて、滞在中は全くストレスを感じなかった。遠くに見える大型旅館は、夜になると沢山の部屋の窓が明かりで煌々と輝きシースルーのエレベータがひっきりなしに上下を繰り返していて、その光景をこの宿から見ているとまるで桃源郷から俗世間を眺めているような気分になったのだ。ここ数年、癒しとかそういう言葉が流行っているけれど、まさにそれが得られる宿だと思う。静かに休養したい人はこの宿に絶対に行くべき。まじ、オススメっす。

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