料金が安いのだからゴオジャスなサービスはない。それは原価原理から考えて当然のこと。
でも、
宿の気遣いは大変素晴らしい
 宿泊当日は半分くらいの客の入りで、隣室の音を気にしなくてもいいように客を通した部屋の間に空室を必ず挟んだ部屋割りをしていたし、空の冷蔵庫もありがたい。食事だって出来立てを少しずつ持ってきてくれるし、布団を敷くときに運ばれる冷水用のグラスもありきたりではないDULAREX系の形の色付きの洒落たものがナプキンを敷いた竹篭に入れてあるとか、浴衣がダンガリーっぽい生地の着心地もいい物だとか、もっと些細なところだと客室に色の名がついていて入り口のプレートにその色の色紙添えられているとか、全体的に押し付けがましさのない対応ととても趣味のいい演出がなされていて、
もてなしの気持ちが高いレベルで纏まっている宿はそうそうないと思う。安かろう悪かろう宿の「手前どもの頂戴する御代では出来ません」という言い訳ってホントは通用しないんだなーと実感した。
だって
気配りの出来る宿は料金の高低関係なくここまで満足させてくれるんだから。
初谷温泉はとてもいい宿なのだけど、気になる点もいくつか。立ち寄り湯の受付はチェックインの始まる15:00までになっているはずなのに実際はそれ以降も受け入れているものだから少しまとまった人数が入浴に来ると宿泊客の入浴とかち合ってしまい、芋の子洗いどころか風呂に入れない状況になっていたのは良くないと思う。気遣いのとても素晴らしい宿だから「わざわざ来てくれたのに断るのは忍びない」という気持ちから受付時間を過ぎても立ち寄り湯を受けているだろうと想像できる。けれど、立ち寄り、宿泊にかかわらずに客側からみたらどうだろう?


宿屋さんは商売だから風呂を稼動させるコストが変わらないのなら、立ち寄り湯で一人でも多く客が利用して僅かでも利益が増えるのはいいことで、チェックインの時間以降は立ち寄り湯は絶対に受け入れるなとは言わないけど、浴室のキャパシティと当日の宿泊客の数を考えて柔軟に立ち寄り湯の対応をしてほしいよなぁ。立ち寄りでも宿泊でも温泉に来てゆっくり風呂に入れなければいい印象は残らないでしょう。

宿の裏手に源泉の井戸があって、飲むと胃腸に効果が高いから源泉から直接飲泉出来るようにプラスチックの衣装ケースの中に柄杓を入れてあるのはなんだかなぁ、森の中に野晒しで置いてるものだからケースの中に土埃や落ち葉や虫の死骸があるし、何本かの柄杓がケース内に重ねて並んでいるのはレストランの洗い場の使用済みスプーンを連想させて、このままこれに口をつけて飲泉する気には気持ち悪くてならない。柄杓を洗う設備があれば問題ないんだけれどね・・・


でも、夜からチェックアウトまでは立ち寄り湯の客はいないのでゆっくりと入浴できるし(私が泊まったときはほぼ貸切状態)、飲泉だってやらないと宿泊に絶対的な支障をきたすモンではないわけだから、「温泉宿で飲泉が出来ないなんて死ぬより辛い人」でもないかぎり、たいしたコトではないかぁ。

・・・・あぁ、これって余計な一言だ、きっと。分かっているんだけれど・・・(汗)


 初谷温泉:1  :2風呂 :3食事