埼玉県  鳩の湯温泉

2004 2月上旬平日 \13650 1人

秩父の秘湯の宿は初めてで、Webで鳩の湯のことを検索すると露天風呂にサルが入っていることもあると書かれてて「へぇ〜、結構と山奥の宿なんだぁ」と思い込んでいた。今回は電車を利用で、もしかして映画「ブレアウィッチプロジェクト」を連想させる深閑とした森の細道をトボトボと一人で歩くと勝手に決めつけ、さらに到着予定も夕方だし、もうこの際タクろうと考えていた(タクシーを使うの意)。そんなワケで予約の電話のときに最寄り駅からの送迎があると聞いたときは、本当にありがたいと思った。最寄り駅に着いて宿に電話をしたら15分くらいで迎えの車は来てくれて、迅速な対応はとてもイイね。車は駅を出て土砂を満載したダンプが行き交うやたらと土埃ぽい国道を通り、そこから、左右に畑の広がる長閑な山里の景色の広がる脇道を1kmも行かずに鳩の湯へ到着。想像していた「ブレアウィッチ」めいた暗く湿っぽい印象は全く無かった。宿に着く直前には道の駅のようなだだっ広い駐車場のある立派な施設も見えたりして、「ええ゙〜っ、ココに秘湯の宿があるのかい?全然“らしく”ねえじゃん」とちょっと拍子抜け。でも、国道からそこそこ離れているおかげで大型車の騒音とか振動とは無縁だし、宿へ通じる道も先が行き止まりの林道で(調べてはいないので単なる推測)宿が人家最終ポイントらしく、この先には杉の森が続くだけゆえに車の交通量は皆無で、騒音とは無縁の環境はとってもGOOD
宿の外観は軒先に干し柿がぶら下っているとやたら馴染みそうな昔ながらの山村民家に小奇麗で新しい客室棟部分がくっついている建物で、思いっきり目立つほどではないけど少しチグハグだなぁ。う〜んとね、伊豆の微妙に商売熱心な民宿にありがちな、狙っている方向は伝わるんだけどイマイチ野暮ったさが拭いきれないオモムキを醸しだしている。けど、秩父の鄙の宿にはこのほうが絶対に良いよな。あ、これは単なる個人的な感想で、語弊満々でイヤミめいた言い方でも褒めているんだから誤解の無きようによろしくねん。玄関正面にフロント(帳場)があり、向かって右側の古い建物のほうは宿の人が利用しているみたい。こういう鄙びた農家風の建物に泊まれるのかも♪と一瞬期待したんだけどなぁ、残念。左側は新館で客室が並んでいる。今回はそんなに高い料金で予約していないから、旧館とか新館の目の前が山肌みたいな眺めの悪い部屋だろうと予想していた。で、実際に通されたのは新館と奥の渡り廊下で数メートル隔てて建っている旧館の部屋。実はここが風呂に一番近い部屋で風呂までの移動の距離が少ないのは嬉しい。中はビニールタイル貼ってある廊下とズラリと並んでいる植物の鉢が、高度経済成長時代テイストそこはかとなく残る昔ながらの鉱泉宿の味わいで個人的にはど真ん中ストライクで気に入ってしまった。「熊倉」と部屋の名が大きく表示された合板のドアを開けると1畳ほどの踏み込み。部屋の内部は10畳はある横に長い造り、床の間には温泉発見の伝説にちなんだ白鳩の置物と生花(これはポイント高いぞ)が飾られている。掃除は行き届いていて、広縁のカーペットもカーテンも淡い色の新しいものだし、部屋付きのトイレは洗浄器付きの最新型で気持ちよく使えるもので、客に気持ちよく寛いでもらおうという宿の気配りが伝わってきて、なんか心暖まる。
部屋からの眺めは、数10m先の斜面に繁る杉の森越しの山と下方には露天風呂の建物。視界が結構開けているうえに窓がとてもひろ〜いから、日中は明るく開放感もある、全体的に好印象な部屋なのでした。

風呂篇 料理篇 余計な一言