設備の整った快適な野湯かもね!

風呂は時間で男女交代する。自分が泊まった日は到着時から20時までは、「ふくべの湯」という内風呂と露天風呂が男湯だった。「ふくべの湯」は、所謂普通の大浴場で二つの浴槽で成す形が瓢箪(ふくべ)形だから名付けられたそう。浴槽が二つあるのでお湯に何か違いがあるのかと思って入ってみたけれど、よく分からなかった。もう一つの浴場の脱衣場共々、化粧水・綿棒・クシ・冷水が備わっている。冷水用のグラスがガラス製なのはちょっと感心。いつ行っても使用済みのグラスで溢れかえっている事はなかったから、マメに点検しているのだろうね。露天風呂は「ふくべの湯」とは離れた場所にあるので裸で行き来は出来ない。必要に迫られて後から露天風呂を設置したからこういう造りになったのだろうな。「ふくべの湯」入り口隣の階段を一階降りると露天風呂。なんか脱衣所の構造を見ると昔は客室だったのかも。露天風呂の湯船は12畳くらいはあって広い。川縁にあるけれど対岸に遊歩道があるからプラスチック製の竹垣もどきで目隠しをされていて川の流れが見えないのは残念だけど、仕方ないかぁ。露天風呂には「ホルシミスサウナ」という温泉の蒸気を利用したサウナも併設されている。壁に貼ってあった能書きには色々と書いてあったけれど、簡単に言うと蒸気風呂。サウナが大好きな自分にとってはとっても嬉しい設備だった。サウナの入り口が十数段の階段を昇った一段高い所にあるので対岸から見えそうな気がするのだけれど、どうなんだろう?あ、だから遊歩道の歩行者が多い昼間の明るい内は男性用なんだろうね。

20時から男湯になるのは、岩窟風呂。もうこの風呂無しに旅館大橋は語れないであろう有名な風呂。浴室は脱衣所から階段20段くらい低い位置にあるので、浴室の扉を開けると三つの浴槽が俯瞰できる。温泉がわき出る川床をそのまま湯船にした造りで、自然湧出の湯が湯船から溢れだしている光景はもうワイルド。上の湯・中の湯・下の湯という三つの浴槽があり、ラジウムとトリウムと二つの泉質の湯が湧き出ていると脱衣場の能書きに書いてあった。なかでも上の湯のトリウム泉は世界でも稀な泉質らしい。が、入り比べてもどうにもこうにも違いが分からなかった。放射能なんて硫黄とか鉄とか五感で違いが感じられるものじゃないから当然か。風呂に入ると足下の所々からフシューってな勢いで気泡と一緒にお湯が湧いているのが分かって、自然のチカラに感動。川床をそのまま湯船にした造りゆえに、底がゴツゴツとした複雑な形状で油断すると足を捻挫しそうになるから注意が必要なんだけど、変に手を加えていないところにこの風呂の良さがあると思う。自分はこれでいいんだと感じた。でも、「ふくべの湯」以外は必ず階段の昇降がある造りだから、お年寄りや足の不自由な人でも安心して入れるような普通の浴室も一カ所設置してあればいいのにな。これは一考すべきだと思う。夜は24:30に一度クローズになって翌朝は5:00から入浴可という決まりは深夜の事故を想定しているからだろう。一晩中入れないのは残念だけど、実際に夜中の2時3時に入る人は滅多にいないから問題じゃないね。23:30頃に風呂に入っていたら従業員が何人か風呂に浸かりにきた。それは別にイヤじゃないけど、客が入浴している最中に洗い場のど真ん中を占拠し、離れた場所からでも会話の内容が聞き取れるような声の大きさで内輪話をするのはどうかと思う。しかも風呂桶も椅子も使ったままの散らかした状態で出て行った。よその宿の従業員は大抵は浴室の隅で目立たないよう静かに風呂に入り、自分が使った以外の風呂桶と椅子もきれいに片付け整えて出て行くのに、ここはそういうことしないのかな?更に自分が風呂から上がったとき、これから入浴する若い従業員の集団が脱衣籠のまえにいつまでも陣取って雑談していたせいで、しばらく浴衣が着られなかった。こっちが待っているのに気づいているのかいないのか分からないけど、なかなか退かずに仲間同士で冗談を言って人前でギャハハと笑ったりしていたのは、なんだかなぁ。はっきり言って、このあたりのマナーは、客と従業員の関係無しに風呂に入る人は皆守るべき常識だと思うけれど、そこのところが全然なっていないね。もちろん、みんながみんなお粗末じゃないのは、迎えの車の運転手さんから始まって仲居さんに至るまで誰もが気持ち良い対応をしてくれたことから十分に分かっているし、自分の体験した出来事は偶々が重なってしまったと容易に想像できる。でも、入浴時間に制限を設けているのなら従業員はクローズした後の時間に入るようにすればいいと思うんだけど、そのあたりどうなんだろうかねぇ。


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