鳥取県 岩井温泉 岩井屋
2005 9月中旬平日 \15900 一人

自分は関東在住なので、鳥取の温泉というと三朝とか皆生くらいしか思いつかず、岩井温泉は秘湯を守る会の本で初めて知った温泉地。秘湯の会員宿である岩井屋には足下湧出の風呂があり、なんとなく入ってみたいなぁと思っていた。で、今回鳥取旅行を計画したのだけれども一番泊まってみたい岩井屋は公式HPもありきたりな造りだし、感想をWEBで検索しても風呂の感想ばかりで宿泊の感想は殆ど見つからず、泊まるとどんなんだろうなぁと興味津々で今回の宿泊は待ち遠しかった。岩井温泉のある集落は四方を田圃に囲まれ、メインストリートは車も人も殆ど通らないし、数少ない商店もやってんだかやっていないんだか分からないようなトコばかり。温泉地とは言い難いような寂れた町並は全体が放心状態という形容が似合う雰囲気だった。岩井屋はそんな町並みの中心に建つ今では貴重な木造三階建ての宿。外観は銀山の能登屋のような凝った造りではなくて、ただ古い旅館だなぁという印象かな。でも、館内へ一歩中に入るとTVのチャンネルを変えたみたいに完全な別世界。どこを見ても洗練された和の雰囲気で、そこはかとなく無国籍アジアな薫りも感じられ、それでいて無節操にゴチャゴチャしていず、身を置いていると気持ちが落ち着いてくるのは全体の雰囲気が統一されていているからなんだろうな。ラウンジ、廊下の曲がり角、階段の踊り場、階段の下の空間、普段目につかないような場所にまで気のきいた飾り付けがなされていて、見つけるたびに「うわー」なんて感嘆詞の連続。しかもスゴイのは、この雰囲気作りを女将が一人でやっているといこと、下手な空間プロデューサーなんか足下に及ばないほどに素晴らしくて、館内を歩くたびに次はどんなふうになっているんだろうとワクワクししまったのだよ。通された客室は二階の[すずらん]という部屋。木造なので上階の足音はよく響いてくるし、窓からの眺めは向かいの民家と宿越しに遠くの山で、この点はっきり言って良くないなぁ。まあ、眺めは集落の中の立地だから仕方ないよね。でも、洗面はお湯の微調整がきくし、トイレも消臭機能のある洗浄器付きで快適。座卓の上には自分の名入りの手書きのメッセージ。床の間には生花。もちろん掃除はどこを見ても完璧。細かいところにまで女将の気配りが行き届いている。もうね、どこを見ても高級感というよりは上質感に溢れていて驚愕。


その2風呂篇 その3食事篇 その4