■第一印象は |
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サイズ縦横バラバラスライドショー
離れ外観
離れ玄関 カーソルを当てると客室からの眺めに 写り悪いけれど目の前は渓流です
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古い建物が好きな自分は、数年前にこの宿の脇を通る道から建物を見たことがあって、それ以来気になる宿だったんだよな。 花の咲く木々と新緑に囲まれた佇まいは、とにかく静かでまさに隠れ宿って形容がぴったりくる感じだなぁ。 車で玄関に乗り付けると間髪入れずに若主人ご夫婦が笑顔で迎え出てくれる。待ち伏せしていたかのようなグッドタイミングで、それはもうどこかにセンサーでも仕組んでいるのではないかと思ってしまうほど。 予約の電話での若女将の対応もそうだったんだけれど、気取りがなくて、でも、きちんとしていて、元気な印象。ここで仏頂面だったり、バカ丁寧なお出迎えをされると「ハズレ宿かも」なんて先入観を持ってしまうからね。やっぱり第一印象って大事なんだよな〜。車の移動は若主人が、客室(離れ家)への案内は若女将がしてくれる。このあたりの手際はなかなかに良くて、この時点で「あ、期待して大丈夫かも」なんて感じた。車から降りると、本棟には立ち寄らず、直接、離れ家に通される。これはいいよね。ほら、よくあるじゃない、ロビーで宿帳を記入したものの、客室への案内で延々待たされてイライラするなんてパターンがさ、。まだ、腰が落ち着く態勢でもないのに抹茶飲まされるとかね、これって“勘違いもてなし”な感じがしてイヤなんだよな。「とっとと部屋に通してくれよ」なんて思わない?その点、ここんちはストレスなしでいいね。本棟から離れ家まで20m弱くらいしか離れていないから、大型旅館よりも移動距離は少ないってことになるのか、やっぱ歩く距離は少なくてラクなほうがいいもんな。そして、宿帳記入が終われば、宿の人が客室にまず入ってこないのもありがたいよなぁ。荷物も広げっ放しのまんまでいいし、何も気にすることなく、あ〜んな格好やこ〜んな格好で和んでいられるからね。え、どんな格好するのかは好きに考えて頂戴、多分、そのとおりだから。ウハハハ。 しかし、この離れ家が広いぞ〜。壁で仕切られ独立した6畳×3室、男女別のトイレ、温泉を引いた風呂で構成されている。建物自体は古い造りなんだけれど、基本的な掃除が出来ているし、洗面所もお湯がきちんと出てくるし、洋式便座はヒーター付きだし、各部屋にエアコンとテレビも備え付けられているから何の不都合もないしね。玄関には打ち水がされてるのが、もてなしの気持ちの表れでしょう。フムフム、玄関側から、食事室、寝室、居間という形に用途を分けて使うのか。寝室には予め布団が敷きっ放しなのもありがたいねぇ。疲れていたら直ぐにうたた寝できるじゃない。実はこれってポイント高いんだよなぁ。一番奥にある居間の広縁からはツツジの花越しに渓流が見える。川の流れる音と時折聞こえる気の早い河鹿の声が・・・。離れだから壁越しに隣の部屋の騒音が聞こえることもないし、静かでいいね。しかし、広縁の窓ガラスのヒビが入っているのを布テープをベッタリ貼って補修しているのはイケマセンなぁ。これが椅子に座ると一番目につく場所にあるから気になるし「おやおや、どうして?」って思ってしまう。こういうのを上手に補修するリペアキットって売っているし、それが難しいなら目立たない部分のガラスと入れ替えればいいのに、これって難しいことなんだろうかね?こんなの些細な事なんだけれど、他の部分がいい印象なだけに余計に目立っちゃうんだよな、ホント勿体無いぞ〜。部屋風呂はユニットタイプのフツーの造り。でも、通常より一回り大きめサイズ。窓の位置がもうちょっと低ければ湯船に浸かりながら渓流が見渡せるのになぁ。ちと残念。そうだ!書き忘れそうになったけれど、ここの宿のお湯は全部天然温泉を利用しているんだぞ。部屋の風呂も、洗面台の湯も全部温泉で使い放題だなんて最高に贅沢だわなぁ。 本棟の建物は、いい具合に時間が木材に染込んでいて味があるね。旅館っぽくない造りだなぁと思っていたら、元々は某企業の社長の別荘として建てられたんだって、なるほどね。どうりで帳場もロビーもないわけだ、なのになぜか広々としたホールがあって、これは遊戯室として使われていたんだそうだ。すっげぇ金持ちだったんだな、ここを建てた人って。 サンルーム風の談話室には昭和初期の扇風機(まだ動く!)や鏡、温度計が飾ってあって、古い物が大好きな自分は、眺めているだけでも卒倒せんばかりのヨロコビなんだけれど、幅が一間ある窓側のスペースに金魚の水槽が2つ、扇風機、小さな置物がぎっしり並べられているボックス型の棚が2段が差ねで置いてあるのは賑やか過ぎるような気がするぞ、なんかゴチャゴチャしていると所帯臭くて、宿全体の雰囲気から浮いている感じがしちゃうんだけれど、どんなもんなんだろうな?自分だったら、アンティークな扇風機以外は片付けて和洋折衷風の花器に野の花を生けて飾りたいところなんだが、ま、ここらへんは個人の趣味志向だし、別に死ぬほどの問題ではないから、大きなお世話だいね。ハハハ・・。でも、ここ以外は館内何処も全体的に簡潔ですっきりとした印象があっていいだけに、なおさら談話室の雑多な賑やかさが目立っちゃうんだよなぁ。あぁ、こんな細々としたことをイチイチ言うなんて兄嫁イビリが趣味の小舅みたいだな。我ながらヤダヤダ・・・。 |
■貸切風呂なんだ〜 |
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縦横メチャメチャスライドショー 途中で出てくる機械は体重計
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風呂は本棟にある露天付きが一ヶ所のみ、貸切で利用するんだけれど、最大でも4組の客しかいないから、混み合うこともないでしょう。元々はパブリックの風呂だったからどこも広いのだ、大理石で枠取りされた湯船は大人三人が入れるサイズ。底から無色透明で癖の少ない温泉が滾々と湧き上がり掛け流し。そんな中で両手両足を伸ばしてボ〜っとしていると、これまたいい湯加減でさ、癒されるとはこういうことなんだなんて思ったりして。上を見上げれば湯屋建築独特の湯気抜きのある高い天井。いい気分だ〜。 併設されている露天風呂は岩造りで大人七〜八人は楽勝で入れる、お湯は当然掛け流し。川を挟んで50m位先に道路が通っているんだけれど、これだけ離れていれば望遠鏡ででも覗かなければ、誰が風呂に入っているのか分からんだろうし、なにより木々が茂っているからモロ見えの心配はないぞ。でも、対岸にあるプールが目障りかなぁ、夏は予約があれば稼動するそうなんだけれど、そうなったら落ち着いて入浴出来なくなるかもね。自分だったらプールを巨大な植木鉢に見立ててワサビ田にして、夕食時に「当館で育てたワサビです」なぁ〜んて一言添えて出して、ついでに蛍の幼虫も育てて、夏には風呂に浸かりながら蛍の乱舞が見えるようにしちゃうんだけれどなぁ。まあ、実際は色々な問題をクリアしなければ出来ないことなんだろうけれどね。所謂、シロウト考えの浅はかさかな♪ なんのかんの好き放題に言っているけれど、風呂に浸かると水面は見えないものの、耳からは川のせせらぎ、目にはツツジの花と緑の隙間から見える満開の藤棚。夏になると蛍見風呂になることもあるそうで、いいぞぉ、この露天風呂。 |
■ご飯だ |
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今回、写真撮影に失敗しましたので 同行者から画像を借りて入れ替えしました 夕食のメニューを書きます 左の四角い箱(山葵味噌、山葵の茎、蛸山葵、猪のソーセージ)、 モズク酢、生桜海老、生シラス、豚バラ角煮、 刺身(伊勢海老、鮑、烏賊、鮪、サザエ、生ワサビ)、ズワイガニ大皿盛 (刺身、カニは三人前です) 後出しで、 牛ヒレステーキ、天麩羅(一人に一匹の大伊勢海老、山芋、オクラ)、ウナギ蕎麦 リキュールのかかったアイスクリーム
朝食のメニューは 厚焼き玉子、シラスおろし、納豆 蒲鉾、鯵干物 伊勢海老頭入り味噌汁
画像提供:toshi-pさん Special
Thanks!
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料理は、生ワサビ一本が添えられた伊勢海老活き造りやアワビの刺身、大盛りのカニもどどぉ〜んと並んで豪華だぞ。後出しで温かい料理を運んできてくれるのも心遣いだね。離れ家形式だから調理場と部屋の往復だけでも結構な重労働になるだろうに、そう考えるとありがたいなぁと思ってしまう。大きめサイズの伊勢海老の天麩羅が出てきて最初の見た目はインパクトあっていいんだけれど、身が一本のまま揚げられているのは食べ辛いかな。身は噛むほどに甘く、胡麻油で揚げてあるから、とても美味しいんだけれど、「美味しい!」と同時に「食べ辛いな」とも思ってしまう。大きな海老にかぶりつく楽しさも味わってほしいとのことなんだけれど、なんかこれって強要されているようで、どうもねぇ・・。横着者としては、やっぱり食べ易い大きさで出されたほうがいいなぁ。牛ヒレステーキは柔らかく、ソースも美味しい。御飯が最初に出されるのも嬉しい、大抵はさ、最後に汁物と一緒に出されるじゃない、そうすると何をおかずに食べればいいの?状態になって困るから、御飯の先出しはいいよね。 朝も伊豆の定番、鯵干物、カマボコに加えて伊勢海老の頭入り味噌汁まで出てくる豪華さ!素朴な味わいの厚焼き卵もグー。 献立の中にワサビが多用されているのも中伊豆ならでは、生桜海老と生シラスも駿河湾の特産でしょう、こういう地方色が出ている献立を食べると、ああ、旅に出たんだなぁと実感できるから、自分は好きだね。全体的には、技巧派で勝負というよりは、う〜ん、野球で例えるとストレートの豪速球タイプの印象かな。 宿代から考えると「大丈夫なの?」「やっていけるの?」と訊きたくなるほどの充実ぶりで、満足度高し!
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