![]() この宿、良いところが沢山ある。実はここ、オンシーズンの予約を取るのが大変な道内屈指の人気宿で、ややもするとその人気に胡座をかいて効率一辺倒に陥りやすいのが世の常なのに、ウェルカムドリンクからはじまり、和洋室に泊まった日はベッドで寝るか布団で寝るか、食事でのチョイスメニューと開始時間などなど、宿側の都合を押し付けずに幾つもの選択肢を設け客の希望に出来るだけ添おうとするシステムは、「もてなし」の気持ちが伝わってきてとても嬉しい。仲居さんも程よい距離を保ちながらいつでも明るく丁寧で、客の立場に立った対応が自然に出てくる人が多く素晴らしいと思った。宿で飼っている老シベリアンハスキーの看板犬“いち”がロビーで尻尾を振って客に甘えてお愛想したり、宿の子供を従業員があやす姿を見ていると自然と微笑んでしまうような雰囲気が宿に漂っているのだ。宿としての体裁はしっかり保ちながらも気取りがなく暖かい、大規模でなく高級志向でもない山の温泉宿の理想の姿のひとつがかなりの完成度をもってここに存在しているような気がする。なぜなら「あ〜、はるばるやって来てよかったなぁ」と思えたから。ただ、宿の男衆には“おいおい?”みたいなのが数人いて残念。宿の関係者らしきオッサンがロビーの暖炉で晩酌するのは、とても見苦しい眺めと感じたけれど100歩譲ってこれは我慢しても人前でテーブルの上に足を乗せてダラダラしている姿はなんなんだ?風呂の湯温を計りに来た作務衣姿の男衆、湯船に温度計を入れるとき入浴中の客が目の前にいて目が合っているのに「失礼します」や「お邪魔します」のような断りの挨拶の言葉が一切出ずに客を一瞥して立ち去るなんてねぇ、向うは服を着ていてこっちは裸のシチュエーションなのに?まだ深夜とは言い難い時間(22:00過ぎ頃)に消灯時間なのかどうかは知らないけれどロビーのソファに客がいるにもかかわらず、無言で灯りを消してしまうのはいくらなんでも酷すぎ。こんなコトを自分の家で家族にやられたとしても誰だって怒るぞ、普通。この、無言でロビーの灯りを消した茶髪の男衆、フロントで問い合わせの電話に「あ〜、その日はいっぱいですね」とガチャン!という対応をしていたからなぁ。この数人はサービス業として以前に一般常識レベルの問題のような気がするけれど、どうなんでしょう?これ以外の男衆は、朝に廊下ですれ違った掃除係りのオジさんのような裏方さんも頭を下げて「おはようございます」と挨拶してくれたりするのに、一部の人が原因で、仲居さんを筆頭に築き上げている“もてなしの宿”が台無しになりかねない。自分はそれを差し引いても非常に満足の滞在になったから良いけれど。あ、あと、看板犬“いち”は常にロビーに居る訳じゃないから、犬が苦手な人はその点の心配は無用ね、安心して。 |