大きな観光旅館が建ち並んでいる有名大温泉地はキライだ。
背の高いマンションみたいなビル旅館が
折角の海や山の眺めをさえぎるように連なっていて、
これじゃどこにでもあるフツーの地方都市と同じじゃ〜!!(*`д´)ノ
はるばる温泉にやって来たような気分がじぇんじぇん盛り上がらないよ。
家から近いところでいうと熱海、鬼怒川あたりがそう。
今じゃ両方、凋落温泉の代表格みたいな印象が個人的にはあるけど
子供だった頃、“温泉=熱海、鬼怒川”みたいなカンジがあったなぁ。
自分もご幼少のみぎりに何回か家族で団体で連れて行ってもらったよ。
昔はすごかったよ〜、賑やかでさ。
駅前に宿の名前の書かれた旗を持ったお迎えの人が
ずらりと鈴なりに並んでいたし、
部屋に居ても宿泊客が歩く下駄の音が外からずーっと聞こえてきてね。
それなりに楽しい思い出もあるんだけど、どっちももう積極的に行きたいとは思わないなぁ。
一生忘れられない思い出はあるんだけどね。
子供の頃は温泉なんて興味がなかった、
ただ家の風呂よりも何十倍もでっかいだけの体を洗うところ。
くらいにしか思っていなかったよ。だから風呂に行くのはいつもつまらなくてねー。
でもね、熱海のその宿はちょっと大浴場の造りが違っていたんだ。
天井にミラーボールがあって、三色に変化する電飾があるんだよ。
それと湯船を挟んだ洗い場と反対側が三段くらい高い床になっていてね、
ヘンなお風呂だなぁ…って思った。
そうそう父親が脱衣場の壁の張り紙を見て、腕時計で何度も時間を確認しておりましたなぁ。
部屋に戻って母親に「ヘンなお風呂だったんだよ。」って話したら、
「そんなのどうでもいいの」と言われた。
昼間遊び疲れたせいか食事が終わるとすぐにぐっすり寝ていたんだけど、
夜遅く(と言っても21:00頃。子供だからねー)暑苦しくて目が覚めた。
全身寝汗でびっしょり!親を起こそうにも部屋には誰もいない…。
仕方ないんで「あのヘンなお風呂に入ろう」と一人で大浴場に行ったんだ。
浴衣を脱ぎ、浴室に入ると真っ暗!ミラーボールがくるくる回り
電飾がめまぐるしい間隔で三色に変わっていた、音楽も流れていた。
一点に視線を集中させたオジサン達がニヤニヤしながら湯船に洗い場に沢山いたねぇ。
「なんだろう?うわぁー面白いなー」と奥に進んでゆくと「コラァ!子供はダメだ!」って、
自分の姿に気が付いた、よそのオジサンに叱られてつまみだされたよ。
その時に電飾の光の先、あの高い床のところでオバサンが二人スッポンポンで
クネクネと踊っているのがチラっと見えた。
それを見たら心臓がドキドキした。怖くなった。泣きそうになった。
脱衣所でオジサンが「子供がこの時間ここに来ると死んじゃうんだよ、だから部屋に帰りなね」
と言って浴衣を着させてくれた。今にして思えば、なんて大嘘じゃい!
部屋に戻ると、まだ誰も帰っていなかったんだ。横になりしばらく経って両親が戻ってきたんだけれど、
心臓のドキドキは一向に納まらないのに反射的に寝たふりをしちゃったよ。
夜更ししていると怒られるし、なによりさっき見てきたことを話すのがなんだか恐ろしくってさ。
眠った振りしている自分の頭をなでながら、おとっつあん「ハハ、よく眠っているなぁ。。。」だってさ。
眠ってねえよぉ!眠れねえよ!!あんなの見ちゃったら。
結局一晩中眠れなくて翌日体調ボロボロ。小学生なのに。。。
思えばこれが生まれて初めての完全徹夜だったなぁー。
これもほぼ同じ頃、鬼怒川温泉に行った時、宴席で長襦袢だけのトップレスの芸者さんが踊りながら
御飯のお代わりなんかのお給仕をしてくれたことがあった。びっくりして御飯が食べられなくなちゃったよ。
心臓が耳元に来たくらいドキドキしたよ。なんだか、また怖くなっちゃって眠れなかったよ。
思えばこの時が人生二度目の完全徹夜体験でしたなぁ。
おかげで翌日乗った鬼怒川ライン下りで酔いまくり!マジ辛かったよー。
いやはや熱海と鬼怒川、自分にとっては生涯忘れられない温泉地になりました。
最近は女性客の心をつかもうと工夫を凝らした宿が多いじゃない。この頃は違ったんだねぇ。
男湯の方が女湯の何倍もでかかったし、男性本位の時代だったんだね。
もし、今のご時世に女性も同行している旅行でこんな企画ぶち上げたら大顰蹙だよ。
ひょっとしてやってる宿ってまだあるのかな?
いや、ないよな。
いや、ひょっとして…。