長野県田沢温泉 たまりや旅館
2006年11月中旬 一人 ¥12000

以前に田沢温泉へ日帰り入浴をした時に見た風情ある門構えにすっかり惹かれ、泊まってみたいと思い続けていた宿。でも、田沢温泉で検索してヒットするのは、共同湯の「有乳湯」か「ますや旅館」に関してのページが殆どで「たまりや旅館」の情報は少なく、「万が一にでもハズレを引いたら・・・」と二の足を踏んで数年来悶々としていたのだけど、ついに好奇心が限界まで昂ぶり、宿泊することにした。田沢温泉街の雰囲気から、こじんまりした宿を想像していたのに、実際は門の先に3000坪もあるという敷地が広がり(蔵があり、川まで流れている!)、フロントのある建物まで100mくらい離れている。そう、ここは奥行きがある造りの宿なのだ。まず正面右手に見える七号棟と呼ばれる明治初年建築の宿泊棟の重厚な佇まいに圧倒。その七号棟を先頭に八号棟、新館、別館と四つの建物が長い渡り廊下で繋がっている。さて、自分が泊まったのは八号棟一階の踏込み+8畳+広縁の部屋。古い部屋だけど広縁一面がガラス窓なので開放感があって明るく、苔生した侘び寂びの庭園が眺められるのも部屋の雰囲気に合っているし、掃除も行き届いていて印象はとても良かった。

部屋にトイレがないのは人によっては辛いかも。でも、共同トイレが部屋の近くにあるから自分は気にならなかったけど。ただ、男性が大きな用事を足す個室は洗浄機付き便座を無理矢理ねじ込んだ造りで狭窄感が厳しいモノが、。でも考えたら一日に一度か二度しか使わない場所だから我慢の範囲かなぁ。昭和三十年代に建てられた木造三階建の新館や七号棟の階段の凝った意匠とか、庭から見る木造の宿泊棟が連なる光景は古い趣のある旅館が好きな人なら、多分気に入る筈