長野県白骨温泉 小梨の湯笹屋

   2000/4/1 ¥18000

■第一印象は
温泉街から離れた高台の小道を数分歩くと、白樺林の向こうに民芸調の建物が見えてきます。周囲に家が一軒もないから隠れ宿みたいな佇まいが、なかなか!で、近くに行くと結構デカイ建物なんだけれど、その立派な外観からは考えられない全九室という小規模旅館。細やかで行き届いたもてなしを心掛けるために、女将さんの目が届くこの規模になったのだそう。
一歩館内に入ると、小さくて控え目な帳場はあるけれどロビーのスペースはなくて普通の民家にお邪魔しているような気がしてくる。そこはかとなくお香が仄かに漂い、至る所に野草が趣味のいい花器に生けられて飾られ、それらから醸し出される落ち着いた雰囲気は、まさに「風雅」という言葉が似合いますな。
今回は部屋割りの都合で特別室にアップグレードしてくれたみたい。ウン、確かに古い梁と柱の醸し出す雰囲気はいい。洗面所やトイレにはオイルヒータが備えてあり、ここでも仄かなお香が...。備品もホテル並みに備わっていたし、さすが特別室と言ったところなんだろうな。日頃、そんな高級な部屋には縁がないからねぇ、感心してしまったよ...。



最初の画像は客室からの眺めです

■風呂の雰囲気もかなり良かったりして
最初の画像は露天入口にある休憩処


露天は貸切り利用の一か所しかないんだけど、客室数が少ないのでほとんど待たないから大丈夫。この露天、大人三人が入ると一杯になってしまうほど小振りなものだけど建物から少し離れた林の中にあって、まさしく山の秘湯といった趣が最高ですぞ。
さらにこの宿の内湯は、壁の二面が大きなガラス戸でしかも全開に出来るから、そこら辺の並の露天など問題外の開放感があるのだ。窓の外には白樺と小梨の林が広がり、こちらも山の色は濃い。浴槽は八畳位の広さがあり、内湯、露天ともにトロリとした濃厚な感触の白濁した名湯が注がれています。また、脱衣場だけでなく洗い場にまで客が冷たい思いをしないように床暖房が施されているところに、宿の心遣いが感じられて嬉しいねぇ。
自分が泊まった時はサンダルに履き替えて裏の小道を露天まで歩いて行ったんだけれど最後の階段が雪で踏み固められて滑りそうで怖かったんだけれど、今は渡り廊下が出来たのでこの点の心配はなくなったみたいだね。
■趣ある料理だったぞ
古民家を再生した囲炉裏の間での食事も雰囲気が良くって気分が盛り上がるぞ。
料理は全体的に薄味で見た目そのままの上品な印象がある。最初は量少なめだなぁと感じたんだけれど気が付けば満腹になっていたりして。
天麩羅、そばがき、岩魚の笹巻なんかは後から出来立てを持ってきてくれるのも嬉しいね。ただ、始めから囲炉裏にかけられているキノコ鍋が温いのはどうしてなんだろう。食事が終わるまで温い状態のままだったのでこれはイマイチだったかな。
暖かければかなり美味しくいただけただろうに、う〜む心残りだ。
朝食は正直言ってイマイチ、見た目はキレイなんだけれど男性だと量が少なすぎ、茶碗蒸しもすが入りまくりでボソボソ。温泉粥もなんだかピンと来なかったかな。
不味くはないんだけれどさ、もう一息頑張りましょうなんて思っちまったわ。
とは言ったものの、女性や熟年の方なら、味、量共に丁度イイ塩梅じゃないのだろうか。ブーな自分には一寸物足りなかったってだけだろうが。
■泊まって思うこと


乗鞍岳
ここんちは、浴衣を炬燵の中に入れて暖めておく、夕食で御飯まで食べきれずにいるとあとで握り飯を部屋に届けてくれる等々、本当に細やかなもてなしが受けられたのだ。女将のお姑さんはさぞやイビリ甲斐がなかっただろう(ほら、障子の桟に指をツーっとなぞらせて○○子さん、埃が残っているわね、みたいなやつね)と想像してしまうほど、掃除も驚くくらい完璧に出来ていて清潔だし、なによりも洗練された品の良い館内の雰囲気は女性には絶対に喜ばれるのでは、と云う印象。彼女とか奥さんを連れて行ってあげると貴方の株が上がりますよ!、きっと。でも野郎同士だと上品すぎて、ちと窮屈かもね。ガハハハ。
一泊\15000からと決して安くはない料金だけど、その内容から考えると明らかに割安でふざけるな!と言いたくなるほど超割高感のある宿が多い白骨温泉では、とても良心的な価格設定でしょう。白骨温泉で泊まるのなら、個人的にはここ以外は考えられないかな。