福島県F温泉大○館
                  2001年10月中旬土曜日¥10000一人

■土曜日に一人で泊まれる宿


宿を上から俯瞰の図




客室からの眺め
ここの温泉地は川沿いと谷の上部に位置する宿があってここんちは川沿いにある。当然、川沿いの宿はどこも川沿いにに露天風呂を持っているんだよね。で、谷の底か建物の上階で道に面した場所に玄関があるんだけれど、ここんちだけは谷底へ降りてゆく坂道の途中に玄関があるんだよ。駐車場は、谷底か上の道沿いにあるので、玄関までインかアウトのどちらかで坂道の登りを歩かなくてはならないのだ。その坂はバイクの2速だとエンブレが効かずに加速して下ってしまうほどで傾斜がかなりキツめの坂。道幅は狭いし片側はガードレールなしの切り立った崖。冬期間の凍結路状態だと下るのはかなり恐ろしいだろうなぁ、このアプローチは。
食事でキライな物から先に食べるタイプ(要はイヤなことは先に片付けてしまう)の自分は帰りに坂を登らないように、谷底のスペースにバイクを停め、谷の中腹にある玄関まで登る。体型がブー&重い荷物を持っての上り坂。つっ辛すぎる。むっ胸が心臓がバックンバックンしてくるほど。ねぇ、どうしてこんな中途半端な場所に玄関を造るのだろう。理解に苦しむぞ。
一歩中に入ると右手にフロントがあるだけで他に目に入るのは埃の溜まった空の棚だけ。かってはお土産処ってやつだったんだろう空間は、ガランと殺風景。何事に於いても、第一印象って大事でしょう。いきなり目に入るのがこれだもんなぁ、ちょっとビックリだねぇ。インの手続きを終えて部屋へ案内される。館内にはエレベーターくらいはあるだろぉと高を括っていたら、なんとナイ!折角、坂道を登ってきたのに今度は階段を降りなきゃならんのよ。そんな御無体な...。谷底か建物をもう少し高くして道路沿いに玄関を造ってくれれば、急坂を歩いて登り降りなんかしないで済むのにさ、建てるときに、こーゆーコト何も考えなかったのだろうかね。
それにしても規定チェックインの時間はとうに過ぎているのに電灯が節約気味にしか点けられていないので薄暗いこと、ホーンテッドホテル?ここ。廊下もそうだけれど階段で足元が良く見えないのは危険だと考えないのかね。ひとつ下りた階の踊り場には従業員の私物とおぼしき肌着やジーンズの洗濯物が干してある。・・・・、一体どうしてこんな所に?洗濯物を干すスペースなんて他にあるだろうに。電灯が消されている暗い廊下の更に先に泊まる部屋はある。途中、置きっ放しらしい掃除機のホースに足を引っ掛け転びそうになり、注意して見ると、座布団やら使用済みの浴衣が積んであった、限りなくフケツでいい加減な印象・・・。しかし通された部屋は掃除は出来ていて意外。どんな乞食部屋に通されるのか心配だったので拍子抜けだよ。ところが自分は考えが甘かった。何とこの部屋は暖房がないのだ。集中管理式のヒーターはあるんだけれど作動しないのよ。10月中旬のこんな山奥じゃ夜は寒いだろうに。案の定、日が暮れると共に強烈に寒くなってきた。たまたま部屋に来た従業員のオバチャンに暖房がないと寒いだろうにと同情される。しかし、どうしても暖房が欲しければフロントへ直談判しろだとさ。TVをつけると写らない、山奥だから?いや、衛星放送のパラボラアンテナがあったぞ。どうして?と、裏を見るとアンテナ線が?がれていなかったよ。って言うかアンテナ線自体がない。あ゙〜っ!もう我慢出来んぞ!暖房のこと共々、フロントに“お怒りコール”をすると、“いずれ(ストーブは)持って行きます、(アンテナは)その時に繋げます”だと。対応は一時が万事この調子。なんなんだ、一体?
■典型的な山料理


山の料理
食事は、夕朝共に広間。ま、それはいいんだけれどね、広間の中央に業務用のジャーがでぇ〜んと置いてあって、御飯はセルフでよそいに行かなければならない。まるで部活の合宿所だね、こりゃ。夕食は、焼いてからかなり時間が経っているであろう即身仏状態にカチカチで硬い岩魚塩焼き、鹿刺しは凍ったまま、山菜煮物は苦すぎ、一番美味しかったのはチーズ竹輪の天婦羅という始末。画像だとどうってことのない山の料理に見えるでしょう?でもね、食ってみれば分かるよ。食べ進むうちに、ある意味、じわじわとインパクトが伝わってくる。さらに隣に座っているオヤジグループが、それぞれの子供やら仕事やらの自慢話を大声で喋っている。そんなの聞こえてくるとメシがより不味くなるよ〜。もうイヤ。
朝は、どういうわけか部屋毎に白米がおひつで出される、おかわりをよそいに行くのにいちいち席を離れなくていいのだけれど、どうして朝夕で違うの?もう、訳分からんよ。昨日保温ジャーが置いてあった場所には、紙コップと牛乳、それとお茶を淹れる用の急須が三つ。え、三つしかないの、20組近い客がいるのに急須はたったの三つかい!当然、淹れたてのお茶は早い者勝ち、殆どの客は出がらしの色付き白湯を飲むことになる。これについては、そこここからの不満の声が、されど従業員は無反応。聞こえている筈なのに。朝食の内容は、“ありがちだね的”なものだった、鮭の切り身は大きくて美味しかったんだけれど、山菜の小鉢は昨日の夕食と同じ物が・・・。ここの宿の料理人ってプライドないのかなぁ?
■風呂は温泉宿の命


画像にカーソルを乗せてみてね
温泉宿なんだから風呂は“まとも”だろうと想像していたんだけれど、自分の考えはまだまだ甘かった。入口の床が思い切り抜けていて、歩くとフワンと無重力状態のようになる。手荒い歓迎だね〜。さて、内風呂の浴槽はコンクリート打ちっ放しで一言で言えば簡素な造り、窓を開ければ山の色が迫り、秘湯の雰囲気がイイ。熱めのお湯も無色透明無臭なのに肌に浸透してゆくようでかなりイイ!ところが洗い場の床は泉質とは無関係にヌルヌル。湯垢?なに?このヌルヌルは??空になった石鹸類の容器が転がり放題。容器の底とシャワーのホースの床に接している部分には赤茶色の湯垢が・・、そうかぁヌルヌルの正体はこれだったんだね。
脱衣場の棚にはブラシやクレンザーの掃除アイテムが、堂々と。ここって、脱いだ服を置いておく場所でしょうに、どうして掃除用具を突っ込んで置いてあるんだろうなぁ。そして、床にはカーペットが貼り付けてあって、浴室への入口付近はグチャグチャに濡れ、もしかしてカビ?とおぼしき黒いシミが点々と広がる。そこから発する臭いと外から流れてくるボイラーの重油を燃やす臭いが混ざり合い、見事な場末感を演出してくれている。もう、マニアックな秘湯の侘び寂びなんてもんじゃない。常識から考えてフケツ度は軽くK点オーバーしてるよ。
川沿いにある露天風呂、ロケーションはいいのに湯船に浸かるとコンクリートの護岸で視界が遮られてしまう。湯船の高さを嵩上げすれば眺めのいい露天風呂になるのに勿体無い。しかし・・・。脱衣を置く場所が逆さにしたビールケースの間に渡した板なのはまだいいけれど、脱いだ服を置くのと同じ場所に掃除用のブラシやホースが置いてあるんだ?それと、露天風呂が客室から見えてしまうために掛けられている、簾の目隠しが壊れているを通り越して朽ち果てたままぶら下っているのも、なんだかなぁ。秘湯の露天風呂と言うよりは乞食風呂だね、こりゃあ。
■泊まって思うこと


分かり辛いけれど画面下中央部に白く写っているのがトロ箱
露天風呂から目撃したんだけれど、食料品が入っていたトロ箱を川原に積んでいるみたい。そんなところに置いていたら、雨の後で水嵩が増したら流されちゃうんじゃないの?下流には他の宿もあるのに・・。何考えているんだろう。
館内の自販機で買ったジュースは賞味期限を半年も過ぎている代物だった。抗議しても「あ、そうですか」と返金をしてお終い。謝りの言葉すらない。いい加減ぶりもここまで徹底してくれると感動すらしたよ。
しかしここまでハズレな宿は久し振りだった。予約完了後の電話で「部屋はどんな感じなんですか?」と訊いたら「悪い部屋イヒヒ」と答えて一方的に電話を切られた時にリダイヤルしてキャンセルすれば良かったんだな。
“紅葉の盛りの超繁忙期の土曜日に当日でも一人旅の客を受け入れる=空いている”宿なんて・・・。泊まるのは、やっぱり冒険なんだろうなぁ。そういう意味では勉強になりました。サンクスで〜す♪
ここんちの看板には“秘湯発祥の宿”と書かれていたんだけれど、その両隣の宿にも“秘湯の○×”みたいなキャッチフレーズがあるんだよ。秘湯の大安売りのような印象だね。これって、本家と元祖と家元みたいな違い?あ、草津の温泉饅頭の販売合戦みたいなノリなのかも。もっとも草津の温泉饅頭は美味しいからいいのだが。