栃木県日光湯元温泉 湯元板屋
        2000年10月上旬 ¥20000 一人泊

第一印象


客室からの眺め



源泉井戸
日光湯元温泉は金精道路の入口、湯の湖のほとりにあります。宿と宿との間隔が開いているのでスキーや釣りなどの基地になっているという割にごちゃごちゃ感はない。
温泉街(と言うほどでもないんだけどね)の外れに、源泉があって井戸それぞれに所有していて、その宿名が書いてある。これは湯に期待が持てるんではないかい♪
紅葉シーズン直前の平日ということもあって、どこも閑散としているのに板屋の玄関には本日満室の看板が掛けてあった。ほぉ〜これはかなり評判のいい宿かも。
建物自体は味気ない鉄筋建築。でも館内全体控え目な色調で印象はいいよ。客室数から考えるとどの空間もゆったりめに造ってあるみたい。まあ、和室は全部十二畳くらいの大きめサイズ。
今回は一人泊なもんだから割り増し料金が結構かかったけど、これはしゃぁないか。ツインルームもあってこっちならもう少し安く泊まれるんだけどすでに満室だった。客室自体はフツーの造りで特にどうこうっては感じなかったけど掃除はちゃんとしてあったからイイんじゃないの。
規定時間より30分位早く着いちゃったんだけどもチェックイン時も笑顔で迅速に対応してくれて良かったよ。
客室まで案内してくれた女性がね、気配り目配りが行届いて「へぇ〜プロだわなぁ」なんて感心してしまった。客室での呈茶って形式的にささって淹れられるから薄〜くてアメリカンな場合が殆どなんだけども、この人が淹れてくれたお茶はちゃんと美味しかったなぁ。こういう仲居さんの存在って宿にとって心強いだろうね。
食事処の従業員とかはこちらの存在に気付かないくらいお喋りに夢中になっているのがいたりして「ウムム」な印象もあったけど
それ以外は概ねいいほうじゃないのかなぁ。
■着いたら風呂だ風呂


カーソルを当てると内風呂になります
風呂は設備面でやや草臥れ始めの印象もあるんだけど、浴槽が十畳位の内湯も六畳位はある露天も宿の規模から考えれば大きめサイズだと思ったよ。露天の入口はね大きな段差があって慣れないとつんのめりそうでこわかったが、今はどうなったろうか?
浴槽はL字型していてちょっと珍しい造り。廊下から見えちゃうから、片側だけなんだけどすっごく背の高い葦図がかかっていてちょいとウザい。けど、山の空気はしっかりあるし他は何もさえぎるものがないから開放感はそこそこあるよ。湯は緑白濁の硫黄泉。入った瞬間はピリリと熱いんだけど直ぐに馴染んでこれが気持ちいい。不思議だねぇ天然温泉のチカラだねぇ。
と、オジサン思わず感激っす。
■ここんちメシうまい!
そうそう、食事が凄く美味しかった!見た目とかは”ありがちだぜ〜”なかんじなんだけども、味付けがよかったなぁ。
季節柄マツタケの土瓶蒸しも出て、普段、ミリいやミクロン単位の薄切りしにかお会い出来ないのに今回は大きなサイズが1/2本入っていた。うっ嬉し〜い。これ以外もとにかく美味い!鴨鍋なんか汁を全部飲干してしまったぞ。たとえ地球が滅亡しても決して食えない物(キュウリ他沢山あります)以外は完食してしまったぁ。朝も勿論スゴウマでしたなぁ〜。焼きたての魚を出す心遣いが嬉しいね。もう、とってもハピネスだったぜぇ♪
と、オジサンここでも感激っす。
ここんちは夕朝とも食事処だったから、一人のワタクシは結構注目の的に!隣の席のオバン!他人が料理の写真撮っているのにイチイチ反応すんなよ〜!無遠慮に他人のことジロジロ見て、それと帽子被ったままメシ食っているアンタだって余程ヘンでお行儀悪いっつーの。
やっぱ一人旅は部屋食のほうがイイなぁ。
■泊った後で
. フロントの人に訊くと、板屋は湯元温泉に現存する宿の中では最古参に属するそう。以前は子供の林間学校みたいな大口の団体客も請けていたけど今は受け入れを断って、個人客中心の営業をしているんだって。だから館内が騒々しくなくって静かなんだ。団体客でうるさいのなんて絶対お断りだよ。よかったぁ〜(^^)
着いた時から気になっていたんだけれどもね、建物の脇に荒れ放題の湯小屋があるんだよ「直して使えばいいのに」と言ったら、板屋じゃなくって組合の所有物だからいじれないんだって。荒れ放題なんだけどよく見ると天井のアール具合とかの意匠に味わいがある、このまま放置するなんて勿体ないですぞ。

後日分かったこと1:
ここの宿のサブコピーが「昔なじみの湯宿」って云うのね。だのに建物は鉄筋造り、ロビーに木造三階建ての昔の写真が飾ってあったから「昔なじみの宿ならこの建物も残しておけばよかったのに」と言ったら、フロントの人が苦笑していた。半年位経って「旅」誌に朝食の旨い宿として出ていて、その紹介記事に”数年前に客の失火で大事に残していた木造建築を全焼…”と書いてあった。その時に昔から伝わってきたものを全て失ってしまい、ロビーにある写真が唯一残されたものだとも。
ずっと大事に守っていたんだ…、でもなくなっちゃったんだ…。フロントの人の苦笑していた顔を思い出したら、知らなかったとは言え、自分の発言が無神経で申し訳なくって切なくなったよ。

後日分かったこと2:
宿のアンケートに朝食を8:30で予約したのに8:00に呼ばれ更に15分待たされて困った。とか客室の案内をしてくれた仲居さんはすごく印象のいい人で、ああいう人は大事にすべきって、体験した事を正直に書いたら、数日後女将さんから達筆の返事が届いた。「へぇ〜丁寧な宿だなぁ」と感心した。それから少し後、TVで板屋が取り上げられていてあの感じのいい仲居さんが登場していた。
「アノ人を使うたぁ、ふふふ勝負してんなぁ」なんて見ていたら画面に”板屋女将OOさん”とテロップが、アノ人がぁ…( ̄□ ̄;)。
あの対応の良さ、どおりで…。エラそうに書いたあのアンケートを見て、返事をどう書くか困ったろうね女将さん。
あぁ、なんかはずかしいぃぃ。