長野県 奥山田温泉 満山荘
2002/10/20 \16,000 

■改築間もない宿


改築前の佇まい

画像をクリックすると改築後の
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上は客室からの眺め
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下は去年泊まった天望館(旧新館)
予め布団が敷いてあると寛いじゃうんだよね

見苦しくても我慢すべし(苦笑)

自分には必ず再訪しようと決めている宿が何軒かあってね、満山荘ももう一度訪れたいと思う宿の一軒なのだ。改築前の素朴な山の宿系(所謂ロッジやヒュッテって呼ばれそうなやつ)の佇まいも自分は好きだったけれど、古民家風というか、鄙び侘び系というか、まあ、そんなかんじで、今の佇まいはなかなかにイイんじゃないかな。
真新しい暖簾をくぐるエントランスからして華美ではないけれど洗練された雰囲気で、今までの満山荘とはまるで別物。んなもんで玄関の扉を開けると土間と板の間の広いロビーが眼に入った途端、あまりの変わりようにオジサンはちと戸惑い気味だったわい。しかし、木と土で出来た建物の中にいるとどうして気持ちが落ち着いてくるんだろうね。不思議だよな。あれ、スリッパなくなったんだ。足で木の感触を味わってもらいたいかららしい。それでアメニティに足袋ソックスが付くようになったのか。
今回建替えられた部分を見るとね、無粋な蛍光灯の照明が、まず見当たらない。白熱灯の間接照明や竹籠や毛筆で字が書かれた和紙をシェード代わりに使っていて、どこにある光も影との調和が優しいんだよね。こういう部分にも気を配っているとは、やるねぇ。ただ、ホント些細な事なんだけれど、ランプのコードの処理がしていなくてしがらみを作ってゴチャってるのは勿体ないかもね。でも、建物が完成したのが営業再開日ギリギリだったそうなので今後改善されるんだろうなぁ。だってさ、火災報知器も壁と合わせた色にしてあるくらい気を使って建てられているんだもの。
今回の部屋は新しい観山館。一歩中に入ると「おぉぉ〜!」木と畳の香りが清々しくて気分イイ♪次の間は天井も高くて圧迫感ないし、囲炉裏もあるんだぁ、すげえ。お茶飲んだりする時はここで和めばいいのだね。そして、ここんちはインの時から布団がすでに敷いてある。人手が少ない宿で布団の上げ下ろしの手間を省くためなんだろうけれど、これが有難いんだよね。すぐにゴロゴロ寛げるでしょう?
天気さえ良ければ、日中は北アルプス、夜は長野市の夜景が見えるんだけれど今回は雨でダメだったんだよ、残念。
洗面所のシンクも大きめでトイレの照明もイイ雰囲気なんだけれどね、洗面所に備えているタオルがノベルティと言うか粗品で貰う業者のネーム入りなのは、折角の部屋のいい雰囲気を壊すからやめたほうがいいような気がするぞ。あと、トイレはとても清潔で気持ちよく使えるんだけれど、前日までは見ず知らずの他人が使っていた訳でしょう、だから床が板敷きでもここにだけはスリッパがあるといいのになぁ。それと便器に座ると電灯が視界に入るので電球をマメに掃除しないと埃が気になるかも...、って、こんなに些細なこと言っていると、なんだか兄嫁イビリが趣味の根性悪な小舅だねぇ、オレサマってばさ、何者じゃい。やだやだ。
でもね、気になるのがその程度しか無かったって事なんだよ〜。
あと、浴衣じゃなくて作務衣が備えてあるのは着ていて前がはだける心配もないし動きやすくていいやなぁ。
■風呂は以前と変わりなし♪

上は今回から男性専用になった露天風呂&内湯
下は以前撮った現・女性専用露天風呂

風呂は水勢は弱いもののカランにはシャワーがついている程度のちょこっとした改装に留まっていた。
好き嫌いはあるのだろうけれど自分はここんちの内風呂の高山地帯にある鄙びた温泉って雰囲気は好きだねぇ。
天気がよければ北アルプスの峰々と街の夜景が見えるし、天気が悪くてもピューと強風がないている中も感じられる山奥度がアップしていいもんだよ。
内狭露広と内広露狭の二つの風呂があって、今までは夕食後に男女の入れ替えがあったんだけれど、それがなくなっていた。
今は女湯になっている露天が広くて、かつ眺めがいいんだよなぁ。特に今回(秋)は露天の周りの木々が紅葉してて、雰囲気に関しても女湯の圧勝ってところだろう。くーっ、女湯のほうがいいよなぁ、自分も眺めのより良い風呂も入りたいよ〜(>_<)
自分はどちらか一方の風呂だけ立派とか男女の別で入れなかったりする風呂があるのは好かんのだよ。ここは残念だよなぁ。
えぇっとね、最後に、殆ど人は通らないけれど露天風呂は駐車場から玄関に続く道沿いの高台にあるから気をつけてね。
内湯から露天への入口にはしっかりとした目隠しがされているから、ほぼ安全なんだけれど、油断して湯船の縁の辺りで立ち上がらないほうがイイぞ。

左の画像にカーソルをあててみてね
■どうしてこんなにウマイのよ

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ここんちの料理は、ほんっとうに美味しいぞ〜
オープンカウンターで女将さんが天麩羅を揚げていて、油断して口にすると火傷をしてしまいそうなほどのアツアツを一品ずつ出してくれるのだ。川魚の塩焼きも齧ると身からほっこりと湯気が起つほど焼きたてだし。鴨鍋も仄かにニンニクの隠し味が効いていて、汁まで飲み干してしまうくらいサイコー!特に牛乳豆腐は勿体ないからちょっとづつ食べようと思ってしまうほど。最後に出される茶漬けの野沢菜漬けは一度湯通しして程好い塩分に調節して出すなんてさ、気配りでしょう?
朝食はバイキングなんだけれど、こちらも十数品並ぶ料理に一つもハズレなし。すげぇよなぁ。
どれも厳密に言えば、家庭料理の延長なんだけれど、器も趣味いいし、なにより客に美味しいものを食べてもらおうという宿の心意気というか真心が伝わって来るのが嬉しいんだよね。
食事処も落ち着いた和の情緒で、夕食時の縁側にはランプの明かりで演出が、朝は森と山並みが窓一面に広がって雰囲気が盛り上がるのだよ。
あぁ、もうゴチャゴチャと御託を並べるのはやめるね。とにかく、いっぺん食べてみてくれ〜!
■泊まって思うこと


紅葉は宿のすぐ傍にも!
家族経営の宿って、良くも悪くもその人柄が宿の雰囲気に現れちゃうじゃない。ここんちはいい意味でその典型。付かず離れずの対応はいいと思うし、先代の主人の話好きな人柄で客同士が自然に打解けられる雰囲気もこの宿の魅力なんじゃないのかな。今回の改築で料金の値上げがあってね、設備面がより快適になるのだからそれに対するチャージと考えれば、これは仕方のないことだと思った。前回の宿泊の時は取り壊されてしまった旧館を利用して\11000、今回は新館利用\16000。自分は、いかにも山の宿といった旧館の佇まいも好きだったし、料理は今までと同じなら、今回の料金\5000の差はどう感じるのか、。「とてもいい宿から普通にいい宿に印象が変わっちゃうかもなぁ」なんて漠然と不安だったりして。が、チェックアウトの時に自分はとても満ち足りた気持ちで精算していたんだよね。どうしてなんだろう?それは、宿の人達の出来る限りの範囲で客に気持ちよく滞在してもらおうという、真心が伝わってくる対応があるからなんだろう。高級旅館にある専属の仲居さんが三つ指ついて付きっ切りで世話してくれる類じゃない、“手造りの暖かさ、優しさ”みたいなもの。金を支払ってもたやすく得られないものだからなのだろうね。
これが俗に言うホスピタリティってやつなのかもしれないな。