新潟県松之山温泉 凌雲閣 
2001年1月初旬平日\13,000
■険しくはない山深い温泉地






















客室からの眺め
カーソルを当てると室内になります
松之山温泉というと、日本三大薬湯の一つだそうで、名前は知っていた。あ、冬に行なわれる「婿投げ」という祭りも有名で毎年TVのニュースで見るもんな。
でも、温泉街は結構こじんまりとしていて歓楽色は殆ど感じられない。だからと言って湯治場クサさ充満でもない。
なんて言えばいいんだろう、“やかましくない大人しい温泉街”なんて印象で、自分は気に入ってしまった。
凌雲閣は、木造三階建ての宿。温泉街とは丘一つ隔てた斜面にあるので、一軒宿のような印象かな。コンクリ打ちっ放しのモダンな新館も並んで建っている。周囲の景色からも浮いていて違和感があるけれど「新しくなきゃイヤ!」な人は新館の方が喜ぶんだろうね。
本館の外観は、小学校の分校みたいな佇まいで木造三階建てにしては地味目なんだけれど、玄関の欄間の彫刻をはじめ、館内の凝った意匠は文化財級。各部屋から廊下に向いた窓も踏込みも、それぞれに変えてあって見ていて飽きないこと!古い建物って何となく暗い雰囲気になり勝ちなんだけれど、ここんちは廊下の片側が全面ガラス窓になっているから、明るくてスッキリしているんだよね。まだ、他に客がいないからということで見学させてもらったんだけれど、こういう古い建物が大好きな自分は、感激の嵐で卒倒寸前でしたなぁ。
通された客室は三階にある「桜」という部屋。踏込みを抜けると四畳半+六畳+三畳大の洋間で構成されていて、なかなかに広々。掃除も行き届いていて快適。天井を見上げれば格子天井、床の間から書院のあたりは、正面から見ると直線なのに斜めから見ると微妙なアールがかかっているし、障子の桟も部屋ごとに変えてあって、何所を見ても“匠の技”責め。部屋にトイレが付いてないのが残念だけれど、そんなの些細なことだわな。
■個性豊かな湯


浴室内の湯気が凄くて写真は撮れませんでした
風呂はやや古びた印象の内風呂のみで、味気ないタイル造りなのは残念だけれど、松之山で一番大きいらしく、湯船だけで二十畳はありそう。洗い場のスペースが広くとってあるのもポイント高い。
そして、湯は薬湯と言われるだけあって独特。えぇっとね、色は緑色、匂いはスクーターの2サイクルオイルみたい。飲泉出来るので飲んでみると、やたらに苦くて塩辛くてさ、ものすごく(+д+)マズー 。良薬は口に苦しという言葉そのもののような湯だね。
他に家族風呂があるんだけれど、この日は湯が張っていなかった。当日の宿泊客が少ないからなのか?
しかしなぁ、本館の部屋から風呂までかなり歩くなぁ。本館1階から渡り廊下で新館へ、エレベーターで下の階へ下り、更に長い廊下を歩く。ちとばかし億劫だけれど、いい運動にはなるよな。
■料理はかなり美味しいぞ〜!

食事は夕朝共に1階の広間で食べた。部屋ごとに衝立で区切ってあるし、隣の席との間隔も広く取ってあるので、これでもいいやね。
特に朝なんか布団を上げて直ぐに料理を並べられちゃうと埃が舞っているんじゃ・・なんて気になってしまう場合もあるし。
料理は美味しかったぞ〜。味の加減が薄すぎず濃すぎずとてもイイ感じ。盛り付けも派手な演出はないけれどセンスがいいと思ったよ、目からも美味しそうに思えるから。それと、暖かいものは後から一品づつ出してくれるのも嬉しい。これは、美味しく食べてもらおうという気遣いだろうね。
朝はどこにでもあるフツーの料理なんだけれど、これまた美味しかったのだ。
ここんちの料理は満足度高し!

■泊まって思うこと


カーソルを当てると温泉街になります
宿の対応も良かった、鯉料理は苦手と告げたら別の料理に差し替えてくれたし、規定のイン時刻よりも1時間以上早く着いてしまったのに追加料金無しで気持ちよく部屋に通してくれた。従業員の人も押し付けがましくないけれど、きちんと笑顔で接してくる。いい意味で古風ないい宿だよなぁ。
ただ、惜しむらくは露天風呂がないこと。予約の電話の時も「うちは露天風呂ないですよ」と、いちいち念を押されたりして、。自分は露天がなければ絶対ダメというわけではないので問題ないんだけれど、四方を壁に囲まれた閉塞感バッチリのなんちゃって露天であろうとも、なければダメって人が多いもんな。自分だったら、新館を建てるより前に露天風呂を造るんだけれどなぁ。斜面にある立地を活かして、この地方の棚田をイメージした露天風呂があったらいいのになぁ。そのほうが集客力も違うだろうに。
ゆくゆくは露天風呂を設置するとのことなので楽しみ。露天の有無に係わらず是非とも再訪したい宿であるしね。