岩手県松川温泉松楓荘
1999年8月\9000と2001年8月\7500で宿泊


松楓荘が見えてきた

      ■第一印象は

秘湯の宿って、容易く辿り着けない場所にあるところを言うんだろうなぁ。
松川温泉は車で容易に行けるものの、4軒の宿が渓流沿いに点在するほかに何にもないし、周囲は深い原生林に囲まれているので秘湯の雰囲気満点。
松楓荘は樹海ラインから少し逸れた渓流沿いにある。
作為的な演出じゃない鄙び系の佇まいは昔ながらの山の温泉宿という趣でいいじゃない。森とすぐ脇を流れる渓流のおかげでマイナスイオンがすごくありそうだね。
館内も昔のまんまって感じかな。荘厳とか豪奢じゃ全然ないし、正直、年季入ってんなぁと思うけれど、ギシギシと鳴る廊下や簡潔すぎるほどさっぱりとした客室も却っていい味出してると思ったよ。
トイレも洗面所も共同なんだけれど掃除がキチッと行き届いているのが大きいんじゃないだろうか。何も気にならなかったからね。
客室から渓流をぼんやりと眺めているとなんとも心が落ち着いてくるのは不思議だよなぁ。


左は客室からの眺め
  ■風呂は最高!
     ここの湯は本当にイイぞ〜♪画像が沢山になちゃったから個別のスライドショーにしたのだよ。
                          個々の画像をクリックして入ってね。




自噴する湯口

岩風呂



混浴
露天風呂






内風呂
■心尽くしの御飯なのだ♪


カーソルを置くと朝食になります
ここんちはね、全部手作り。だから美味しいんだね。蕎麦なんかは後から出してくれたりするのも嬉しいよね。
歓楽旅館にありがちな、味は二の次、やたら皿の数の多い見た目だけの料理じゃないぞ。
それに加えて量は少ないけれど極上の地物素材を使った一品を出してくれるよ。それは霜降りの前沢牛だったり、チョウザメの刺身だったりする。料金から考えたら、だいぶ無理しているんじゃないのかなぁなんて、こっちが心配になっちゃううんだよ。でね、一度訊いたことがあるんだけれど、秋にマツタケを出す時は赤字になっちゃうこともあるそう。
だけれど、折角泊りに来てくれたんだから、客に出来る限りいい地物の料理を食べてもらいたいんだって。
そういう心尽くしが伝わってくるのがなによりものご馳走だと思うぞ。。
■泊って思うこと

いい宿ってどんな宿のことをいうのだろう?その基準は人それぞれ違うんだろうね、きっと。
ホテル旅館どんなタイプの宿でも安心して泊れるって言うのは一番大切なことじゃないんだろうか。ここんちは慇懃なほどの揉み手でニコニコみたいな愛想はほとんどない。三つ指ついて至れり尽くせりの対応を求める人だったらまず物足りないんじゃない。だけど、本当は客のことを心から考えてくれているのが自分には伝わってくるんだ。洗面所やトイレも建物同様年季がはいっている。特に水周りは設備が新しくないと大抵の宿はフケツっぽく見えちゃうもんなんだけれど、ここんちはそんな印象が全然ないんだ。これって、いかに掃除をきちんとしているかの表れじゃない。内湯入口に置いてある無料で使えるマッサージ椅子だって、この料金の宿ではまずありえないし、料理だって量は少ないもののいい地物素材を使った一品を出してくれるのもそうじゃないのかな。建物が古いから混雑している時には騒々しくて客に対して申し訳ない気持ちで一杯になるんだって。
他にも岩風呂はその時によって湯の色が五色に変わる。冬場は野生のテンやキツネが玄関の中にまで入ってくる!
どこの宿でも宣伝材料として大々的に使うでしょ?自分だったらそうするんだけれど、自然相手で毎日必ず決まった時間に起こるものではないから、それを宣伝には使えないと言うんだよ。それを期待して山奥までわざわざ足を運んでもらって、もしそれに応えられなかったら申し訳が立たないからなんだって。自分だったら「あぁ〜、なにしろ自然相手ですからねぇ」ですましちゃうのになぁ。これって勿体ないと思わん?客に対して誤魔化しをしない真面目な宿なんだね。泊っていると、上っ面だけの愛想じゃない、旦那さんと女将さんの正直で暖かい人柄が伝わって来るんだよね。
安易に使われているから出したくないんだけれども、これが本当の“もてなす気持ち”じゃないのかな。
平日に連泊してごらん。凝りに凝った気持ちの芯みたいなのが消えてゆくかもしれないよ。