栃木県川俣温泉 一柳閣

             1999年8月下旬土曜日1人¥15000

■第一印象

客室


客室からの眺め
ここは舗装してあるもののかなり険しい道を通らなくては辿り着けない山奥の温泉だから立地的には秘湯の宿なんだろうね。道路から見ると平屋建ての建物が崖にへばりついて建っているように見えるんだけれど実は鉄筋7階建てなのだよ。道が急峻な渓谷の上部を通っているからそうみえるんだろうね。
館内に入ると、いきなり模様入りの真っ赤な絨毯と巨大な天女の絵が目に入る。窓の向こうには緑の山と渓谷が見えるんだけれど絨毯と天女のインパクトが強すぎて折角の自然の眺めが霞んでしまったよ。なんか勿体なくないかい?パンフレットを見ると“華やぎ”がテーマみたいだね。新館のロビーには、万が一割ってしまったら「ごめんなさい」じゃ絶対許してくれないような大人の背丈ほどあるでっかい中国風の壷が飾ってあったなぁ。これはゴージャスってやつかい。真っ赤な絨毯、天女の絵、中国風の壷…、まぁ“華やぎ”なんだろうけれど、自分的には田舎の成金の応接間って印象なんだよね。なんだかなぁ…。秘湯の宿にしては斬新なアプローチなのかもね。
通された部屋は10畳風呂トイレ付きの和室。個人的には風呂は要らんが設備的には整っているし、掃除も行き届いているから印象はグー。窓の外には渓谷が見下ろせる。広縁の椅子に座ってぼーっと景色を眺めていたら猿が岩伝いに川を渡っていた。自然豊かなんだ。部屋の造作は鉄筋ゆえに味気ないが、木々の緑と澄んだ川の眺めがあるから、こりゃいいやね。なんて言えばいいのかな、真夏の昼下がりに冷房をガンガン効かせた部屋の中で熱い鍋焼きウドンを食べるような贅沢さ‥。
うーん、なんかちょっと違うなぁ。これじゃ意味不明だね。
■風呂はよかったぞ
ここんちは露天風呂がいいぞ〜。源泉の井戸が直ぐ脇にあるのはいねぇ。風呂自体が本当に渓流沿いにあるし、過剰な転落予防の柵もないから風呂に浸かった時に視線を遮る物がなくって景観を損なわないんだよ。20畳くらいはゆうにある大きな岩造りの浴槽のほかに小さな木造の浴槽があってね、こっちに浸かっていると無理なく川を見下ろせるから尚更気分がいいのだよ。ただなぁ〜、腐食予防のためなんだろうが折角の木の湯船にアクリルみたいなものがコーティングされていて木の香りは全然しないし浴槽の肌触りは普通のポリバスと同じ感触なのは勿体ないないかもなぁ。
それと貸切露天風呂が、打たせ、ジャクジー、木造りと趣向を変えて3箇所あるんだ。どれも無料と言うのは良心的だよね。自分的には一番川に近いジャクジー付きのところが気に入った。渓流を見ながら泡沫の温泉に浸かっているなんて、なんとも贅沢よのう。貸切だから誰にも見られないし、風呂のサイズがでっかいから大股広げた“あ〜んな格好”や“こ〜んな格好”でダラリンと風呂に浸かっていられるのは気持ちいいやね。時間制限がないから誰か外で順番を待っている人がいるんじゃないかと考えると気弱な自分は落ち着けなかったり、若いカップルの後で入るのは湯がナマナマしい状態そうで苦手に感じるが、これは個人的な思考なので問題外かな。
内湯は宿の規模からいったら小さめで浴槽は8畳くらいしかないんだけれど、みんな露天風呂へ行っちゃうんだろうな、風呂に浸かっている間は誰とも会わなかったよ。自分も内湯には一回しか入らなかった。露天、内湯共に掃除が行き届いていて気持ちよく風呂に入れた。清潔感、温泉宿だものこれは一番大事なことだと思うよ。
■山奥の御飯だ


朝は撮り忘れました
この宿に泊ったのは7泊8日の温泉大名旅行最後の日で、山の旅館料理に飽きがきていたせいもあるから割り引いて聞いて欲しいんだけれど、???な印象だねぇ。
山奥だから贅沢言っちゃいかんのは分かるんだけれど、刺身が乾いていたり、デザートのプッチンプリンタイプのコーヒーゼリーを容器ごと出しているのは気持ち一つで何とでもなりそうな気がするんだけれどなぁ。そう言ゃ朝も納豆がパックのまんま出ていたかな?器に移すのってそんなに大仕事なの?そうは思えんがどうだろう。
小うるさいと言われりゃそうだろうが、折角の料理の印象がそんな些細なところで曇っちゃうのは勿体なさ過ぎるように感じたぞ。
あ、そうそう、朝食の出し巻き卵はほんのりとした甘さが自分的には美味しかったかな。
■一夜明ければ

玄関にて
ロビーの田舎の成金風の雰囲気や食膳に容器ごと品物を並べて出したりするのは自分的には ( ̄. ̄;) ではあったけれど設備も機能的には快適だし、なにより風呂と温泉自体はとてもいいから、あれもこれもと宿に求めすぎなければいい宿だと思う。
部屋に備えてあるポットのお湯が温かったので、部屋を出て通りすがりのオヤジ従業員に「熱いお湯をくださいと」と言ったら「自分は担当じゃないから出来ないよ、係りのお姉さん探して言ってよ」といかにも面倒くさそうな言われ方をされて気分がかなーり悪くなったんだけれど、他の従業員の人の対応は普通だったし、部屋係りのオバサンがとてもよく世話をしてくれたから、まあいいかぁ。自分の部屋係りのオバサンが感じよくてチップを渡して「オバサンみたいないい従業員がいるんだもん、ここの女将さんは安心だねぇ」なんて言ったら「オホホホ、褒めてもらってうれしいわ」と答えてくれた。
チェックアウトのときオバサンが見送ってくれたんだけれど、他の従業員が「女将、女将さ〜ん」と探している声が後ろのほうから聞こえたら、オバサンが「はぁ〜い」と返事をしていた。
げっ、他の従業員と違う格好をしていたから接客の現場責任者かな?とは想像していたけれど、この人が女将さんだったんだ!
ウムムムム、さすがに対応のし方が違う筈だよ。しかし、女将にチップを渡してしまったなんて…。ちと格好悪かったかなぁ。我が事ながら ダサいねぇ。


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