公式ＨＰに載っている建物の画像を見てから、ずっと泊まってみたいと思い焦れていた宿。出雲湯村温泉のレポはネットに山のようにあるものの、その殆どは日帰り入浴のものばかりで宿泊感想は少なく、お湯の良さはなかなかのものらしいけれど宿としてはどうなんだろうと数年来気になっていた。そして今回は、その疑問が解決する待望の宿泊なのだ。出雲湯村温泉湯乃上館は、川沿いのこぢんまりしたとした集落にある。旅館という外観じゃないし、中に入ってもロビーやフロントのようなものはなく、田舎の大きな家ってトコかな。明治初期の建物だそうで、歩くと床が軋むし部屋鍵も穴に針金を引っかける程度の物しかなく、洗面もトイレも共同なので、新しい設備が完璧に整っていないとダメな人が宿泊するとキツイかもしれないぞ。でも、洗面はお湯がキチンと出るし、トイレは新しく建て増しした部分にあり便器も脱臭機能の付いた最新型だから、水回りで不快とか不便を感じることはあまり無いと思う。なにより、２組しか客を取らないので、人で混み合うようなことは決してなく、親戚の家に泊まっているような気安い雰囲気が心地よい。掃除はどこも行き届き、床の間には生花が飾ってあるのは、旅館として客を迎える心の現れ。部屋の窓から見える茅葺きの屋根、庭先で昼寝をする犬、川向こうの山里の佇まい、時の流れがゆるやかに感じられる長閑なひととき、自分は心から寛げた。
日常に疲れた人には超オススメ。