岐阜県福地温泉 湯元長座
                   
1998年11月上旬 ¥18000

■第一印象


カーソルをあててみてね

福地温泉は嵩の高い建物が無いし、メインの観光道路から外れているので、隠れ里のような静けさがあって、大人の温泉地ってトコだろうか、。
湯元長座の古民家を移築再生した外観からは、風雪に耐えながら過ぎていった時の流れが材木に染込んでいるようで、重厚感オーラがグイグイと伝わってくる。
中に入れば、掃き清められた土間。囲炉裏の火が照明控え目の部座敷で赤々と燃え、板敷きの部分では壁が大きなガラスから日の光がさんさんと、天井を見上げれば太い梁、蔵の扉を利用したテーブル、ロビーに漂う炭の燃える匂いも雰囲気が盛り上がるねぇ。
明と暗、柔と重の混在するバランスなぁ〜んてカンジかな。ウムム、何とも演出上手!館内のどこを見ても、落ち着いた色使いとかに統一感があるからイイんだろう。“洗練された鄙”みたいなところだろうか。
通された部屋は、広めの踏み込みのある十畳間。ここからの眺める庭園の風情も、いかにも造られた風だけれど、かなりのもの。
自分から見ると、ちと、お高級っぽいけどね。でも、隅々まで掃除も行き届いているし、空調もバッチリで、古民家の趣はそのままに設備面は快適で、都会人から見た都合のいい田舎の世界ってかんじかな〜。あ、これは悪いことじゃないんだよ。誤解しないでねん。
■風呂サイコー!





スライドショーです
ここんちは建物に負けず、風呂もいいぞ〜。内湯の壁と天井は木造で木の香りがしていた。浴槽も縁に木を、その他はコンクリート打ちっぱなしにしているのは、秘湯らしさを演出しているからなんだろうか?でかい窓の外は木々が迫ってきていやはやイイんじゃないかい。そのうえ、露天風呂もでかいよ、岩造りで木々が湯船の脇ギリギリまで迫っている浴槽は、二十畳以上は軽くありそう。底の部分の色が少し変わっていて湯の透明感が映えるようになっているのでは?と、思ったのだけれど、それは考えすぎかなぁ。
さらに、湯口まで総木造りの三畳位の広さのある内湯に露天が付いた貸切風呂が三箇所もあるのだ。民宿あたりだと自慢の風呂になりそうな立派なもので、貸切って40分¥3000くらいの料金を取る宿が普通なのに、無料というのは良心的としかいいようがないよな。ただ、いい風呂なだけに四六時中塞がっていて、入りに行っても無駄足を踏むことが何度もあったのは悲しかったけれど、その分、内風呂も露天風呂もガラガラでのんびり浸かれたのはなによりだったし、湯上り処には無料のマッサージチェアまであって寛げたから、ま、いいか。
■風情満点の食事


蒸し物は後出しの気遣いが・・
ここもカーソルを・・

食事は酒蔵を改装したという広間での炉端料理。鉄板焼きとか自分で串に刺した素材を炭火で焼きながら食べるのって、宿の手抜きを感じてしまうことがあるんだけれど、ここんちは、宿の雰囲気に合っているし、料理も見た目がきれいだから、そうは思わなかった。でもね、炭火の火力の調節が分からないもんだから、鍋なんてあっという間に煮詰まっちゃって、まるで大食い選手権のように大急ぎで食べたのでせわしなかった。全体的に量が多すぎてかなり残してしまったし、味自体も「スゴうま〜」と思えるほどの印象は薄くて、ちと残念だったなぁ。で、食事が終わるころに主人が挨拶かたがた炭火の調節の仕方を説明するんだけれど、食べ終わってから教わっても意味ないんだよな。オヤジさんが囲炉裏の炭火の扱いを客に教えると云うのは、絵的にはステキだけれど、実際問題としては食事を始める時に食事係りの人が教えてくれたほうが、親切だと思うんだがなぁ。
■泊まって思うこと
高級感と風情を併せ持った建物、充実した風呂、総合的に見ると料金は明らかに格安だと断言できるんだけれど、人の対応がチグハグな印象なんだよなぁ。
チェックインの規定時間よりも30分も早く最寄のバス停に到着したのにもかかわらず、車で迎えに来てくれたのは、有難かったし、嬉しかったんだけれど、迎えに来た男性従業員は、ものすごい仏頂面。「いらっしゃいませ」も「こんにちは」の言葉もなかった。「早く着いちゃってごめんなさいね」と謝ったにもかかわらず、返事はおろか宿に着くまで始終無言。そんな露骨な態度をするほど迷惑だったんだろうかねぇ。
フロントの年配の女性も能面のような無表情での対応。でもね、いるじゃない感情表現が下手な人ってさ。この時は、そのタイプの人なのかなと解釈していたんだけれど、チェックアウトの時、若い女性グループが「お世話になりましたぁ」と言っているのには能面対応だったのに、常連らしき中年カップルには笑顔で対応していて、どうして〜???な思いだった。
他の従業員は、客の立場に立った気のきく対応をしてくれたし、皆、笑顔があって、かなり良かっただけに、前述の二人の対応は余計目立っちゃったのかもしれないね。それと、親の還暦記念旅行で泊まったから、前評判を聞いて、無意識のうちに宿に期待しすぎていたのかもしれんしなぁ。
旅館はチームプレイだと思う。人のミスをフォローすることもできるし、逆の場合もある。たった一人の対応の良し悪しで、宿の印象が大きく変わる場合って多々あるんじゃないのかな。それに人それぞれ個性があって、同じ宿の中でも仕事によっては、その人の向き不向きを考えるべきのでは?なぁ〜んてね。そういう点で考えると、勿体無いなぁという印象が強いかなぁ。

最後に、なんだかんだ言っても、泊まってから結構時間が経っているし、あるHPでは対応の良さをかなり評価していたから、自分も再チャレンジしてみようかなとは思っているけれどね。
なにより露天の雰囲気は素晴らしいから